笠松競馬場での騒動は、競馬関係者が数多く処分され、追放されたことで一応解決していた。
しかし、処分を下すまでのプロセスがまずかったために、元騎手の処分が取り消される判決が出てしまった。
1人は復帰を希望し、恐らくもう1人は体重もあって損害賠償に切り替えたのだろう。
こうなると、復帰を希望する騎手を復帰させなければいけなくなる。
大相撲でこれと同じような前例があったのを覚えているだろうか。
奇しくも大相撲でも八百長騒動や違法賭博問題などが大騒ぎになった。
その中の1人に蒼国来がいた。
中国国籍の力士では36年ぶりの関取となり、話題となった。
入幕も果たし、順風満帆のキャリアに見えたが、この時、八百長問題に巻き込まれた。
日本相撲協会が設置した特別調査委員会が、蒼国来の八百長を認定する。
当初引退勧告処分だったが、蒼国来が八百長の事実はないと否定したため、解雇処分になってしまう。
しかし、蒼国来は裁判に打って出た。
2年以上の闘争の末、蒼国来は勝ち、角界に復帰した。
2年ものブランクは厳しいと言われ、当初は苦戦を強いられた。
それでも蒼国来は諦めず、不屈の闘志で復活を果たし、三賞を獲得するまでになった。
最後まで蒼国来を守り続けた先代の荒汐親方が停年を迎えるタイミングで、引退し、荒汐部屋を継承する。
新関脇若隆景が大阪場所で優勝したが、若隆景も荒汐部屋。
もしも裁判に打って出なかったら、いったいどうなっていたのだろうか。
笠松競馬の問題に話を戻すと、両者に共通するのは、第三者委員会の結論ありきの姿勢にある。
色々な第三者委員会があって、形式上独立させてはいるが、金を出してもらっている手前、金を出した側の意向を反映した内容になりやすい。
処分ありきで行きたいのに、いやいやそんなものはもってのほかだ!と突っぱねるのはやりにくい。
なぜなら依頼を受けてそれなりの金を積まれて調査していくからだ。
検察が最初にストーリーを描き、ストーリーの通りに証言をとっていくのと変わらない。
悪いようにはしないからここは泣いてくれと手切れ金を渡しておけば、それをいただくしかないという体制側の驕りもあっただろう。
蒼国来は解雇処分でありながら、相撲協会は退職金を渡そうとしていた。
拙速にやり過ぎ、誰も止められず、結果的に手痛い代償を支払うことになる。
第三者委員会は現状、お飾りになってしまうことが多い。
一種のビジネスなのではないかと思うくらい、無意味なものである。
笠松の競馬組合は以前も騒動を起こしており、Twitter上で採用予定だった人物を吊し上げる騒ぎがあった。
当時はそこそこの騒ぎとなったが、なぜ個人的に連絡を取らなかったのだろうかと不思議に思った。
一連の流れを見る限り、笠松の組合はこういう体質なんだろうなぁと思わざるを得ない。
相撲協会はメンツもある中で、早々に控訴を断念し、蒼国来の復帰を認めた。
果たして元騎手への控訴を笠松は断念できるのか。
復帰するかもしれない元騎手の腕的には、あっさりリーディング争いができるだろう。
センバツ高校野球で、審判が誤審を素直に認めて謝罪し、絶賛されたのが記憶に新しい。
この際、頭を下げて、戻すべきではないだろうか。
気持ちはわからんでもないが、杜撰な調査をしてしまった以上、選択肢は限られている。