当然のことながら嬉しい。
それは本心だし、心の底から嬉しい。
ただ別の本心として、ホークスに4タテされるんだろうなというのもある。
まず今の打線は決してホットではない。
近藤健介や山川穂高のような高位安定の選手は少ない。
メジャーリーグだと9番バッターも一発があるなんてよく聞くことだが、ソフトバンクにもそれがある。
CS史上、横浜の防御率は歴代2番目で、8試合の防御率で見れば最もいい。
一番その防御率に驚いているのは横浜ファンである。
横浜は打撃だけでのし上がってきたと言われ、投手力・守備力度外視みたいに思われていた。
それはファンだって同じ気持ちであり、ファーストステージがまさに象徴だった。
ファイナルステージが今まで見たことない横浜だったと言える。
最終戦は、2エラーで2点を失っていて、打線が冷えに冷えていた。
正直諦めており、やっちゃえ日産ではないが、決めちゃえ巨人と思っていた。
大量失点されれば諦めがつくという思いからだが、ここで巨人がエラーを活かせなかった。
直後に横浜が同点に追いついたことで、すべて変わった。
巨人は菅野を出すなど、よもやの死闘となり、最後は牧が決めた。
その前に、森が好走塁で三塁に行っていたのも大きかった。
森はビッグプレーが多い一方、ミスも目立ち何かと叩かれる存在で、この日も最初にミスを犯した。
しかし、そのミスがフリのごとく、タイムリースリーベースと好走塁の2つで取り返してみせた。
個人的に懲罰交代が単なる温情にしか思えないのはこうした点にある。
ミスをした選手を交代させずに出し続け、ことごとくチャンスを潰してもなお起用し続けることの方がよっぽど懲罰である。
何より取り返してしまうこともあるわけで、コスパはいい。
おそらく横浜はソフトバンクに負けるだろう。
問題はその負け方と抵抗の仕方にある。
2024年のソフトバンクは2017年のソフトバンクと状況が似ている。
どちらも90勝以上しており、盤石だった。
そして、油断がない。
小久保監督は横浜が勝ち上がることを想定して、嶺井を一軍に合流させている。
シーズン中は日ハム相手に苦戦したソフトバンクだったが、終わってみれば3タテ。
しかも、横浜の打線はお世辞にもホットではない。
その状況で横浜の日本一を大真面目にプレゼンするのは酷である。
この数日で打線が勢いを取り戻し、投手陣がCSと同じ感じであれば、一発か二発は入るかなとは思う。
2017年の日本シリーズと比べると戦力的には上がったかもしれないが、それ以上にソフトバンクの戦力強化がえげつない。
だから、横浜は堂々とぶつかっていけばいいし、仮に玉砕してもそれはそれで経験。
2017年での経験はその後ほぼ生かせずじまい。
大事なことはリーグ優勝をすることであり、そのための糧を得ること。
そのために4タテされるのであれば安いものである。
3年連続90敗、5年連続勝率3割を経験すると、日本シリーズの4タテなんかかすり傷にもならない。
怖いものは何もないんだから、堂々と戦って華々しく散ろうではないか。
といって、日本一になったら号泣するダサい大人になり下がるのだろうなぁ。
これを書く今も、CSを突破したことに泣いちゃってるんだから。