違和感の解剖図:勝負事とエンタメの不都合な真実

競馬、ボート、Mリーグからテレビ批評まで。世間に漂う「建前」を剥ぎ取り、その裏に潜む違和感の正体をロジカルに解剖する。単なる感想を超えた、不都合な真実の記録。


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「ナンデモ特命係発見らくちゃく!」はなぜBPOで問題になったのか


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福岡にある福岡放送では「ナンデモ特命係発見らくちゃく!」という番組が放送されている。

一言でいえば探偵ナイトスクープみたいな番組である。

2011年から深夜で放送されており、この時代のテレビ番組ではそこそこ長い部類に入る。

パラシュート部隊の斉藤優が出演しており、北海道や東海圏などでもネットされている。

そんな番組がBPOの審理入り対象となってしまった。

 

視聴者から、高齢の親族の家を片付けてほしいという依頼があった。

それ自体はよくあることだが、問題はその演出にあった様子。

タイトルが「命の危機…ゴミ屋敷大掃除!」

この番組ではゴミ屋敷の掃除をよく取り上げており、今回が初めて扱う案件ではない。

部屋の住人が助けを求めることが多いので、そこにモザイクがかかるというのはあまりイメージがわかない。

ただ今回の住人は自ら依頼をお願いした感じではなく、別の親族からの依頼。

となると、住人としてはいささか不本意な気持ちもあったのだろう。

加えて、ゴミ屋敷を強調され、顔も名前も出され、モザイク処理すらないとなると、カチンと来るのは致し方ない。

人権侵害と申し立てたほか、「住人にとって重要な物品がなくなった」とも主張した。
他の親族も幼少期の写真を勝手に使われるなど、これらも人権侵害だと訴えている。

一連の流れから審査を行い、審理入りとなり、これから色々精査されていくようだ。

ちなみに番組ホームページでは過去回の見どころが残されているが、BPOの対象となった回が存在しない。

他のゴミ屋敷の回のページを見る限りは、依頼者にモザイクがかかる様子もなく、すべてありのままという印象を受ける。

 

ここからは憶測になるが、おそらく今まで何も問題がなかったから、今回も大丈夫だろうという意識があったのではないかと推察する。

今回が初めてなら、「そこまで頭が回らなかった」と言われたらきっとそうなんだろうと思うが、2011年の放送から何回もゴミ屋敷を扱っている。

その間、何のクレームもなかったので、今回も大丈夫かと思ったはずである。

そうでなければ、何かしらの配慮はしていたはずだ。

もしくはコミュニケーションが明らかに不足していたか。

写真を許可なく使う件も、言った言わないレベルのコミュニケーションの問題があったのではないかと考える。

謝罪の仕方などもまずかったのかもしれないが、このあたりは審理入りして、まとめられた見解で判断するほかない。

この件はそんなに話題になっていないようで、それもまた不思議である。

ゴミ屋敷とか断捨離とか、かなりセンシティブな話題であり、対応を間違えば大炎上する案件と言える。

色んな方面からネタにしやすい案件に思えるが。

 

放送人権委員会で審理入りし、何らかの判断が下されたのは1998年から現在まで77件ある。

その中には現在裁判になっている鶴ツルもある。

自分が知らなかった中でピックアップすると、テレ東のガイヤの夜明けで放送された「新ビジネス“うなずき屋”報道」について。

https://www.bpo.gr.jp/wordpress/wp-content/themes/codex/pdf/brc/determination/2005/27/dec/0.pdf

孤独老人相手の新商売として、お年寄りの話に頷くだけで2時間1万円のサービスがあるという内容だ。

要は、少し演出に誇張があったんじゃないの?という話である。

公益性のある内容という評価はされているが、演出が多少やり過ぎだった可能性があった。

このケースは放送倫理違反として扱われているが、内容を見ると文字面よりかは結構薄いグレーで、ガイアの夜明け側が完全な悪かというと果たしてどうかといったところ。

 

報道では公益性が焦点となりやすく、公益性とプライバシー保護などが取り上げられることが多い。

だから77件の大半は報道系である。

ではバラエティ系は意外と少なく、鶴ツルやテラスハウス、IPPONグランプリ、銭形金太郎、たかじん胸いっぱいなどが該当する。

たかじん胸いっぱいでは人権侵害があったとして勧告を受けたが、他はそこまで踏み込んだものはない。

伏字で誰だかわからなかったが、悲しいかな、芸能ネタは何となく覚えており、あぁあの人かとすぐにわかった。

確かに当時は、まぁ申立人の奥さんがやたらめったら出ていた印象がある。

あの当時も一定の人気があったが、今だったらもっと人気だったかもしれない。

それくらい舌鋒鋭く、めちゃくちゃなことを言っていたように思う。

ちなみに被申立人、この場合の関西テレビの言い分にはこんなものがあった。

 また、B氏と申立人の婚姻生活は、セレブ婚と呼ばれて一般人の関心を呼んでおり、
公益性や公共性を有する事柄であると考えられる。
 「私人」を主張される申立人は、芸能人の配偶者として自ら私生活の様子をバラエ
ティー番組に提供したり、マスメディアを通じて自らの主張や反論を披露しており、
その意味で「公人」であるというべきである。 

一般男性として報道されても、配偶者である女性タレントが私生活をトーク番組でぶっちゃけたら、ネタを提供してるんだから公人ということになる。

それは無理があるように思う。

ただBPOでは、ペラペラと語る人と結婚する時点で少しは予見できただろみたいな指摘を行ったほか、

その意味で申立人が芸能人であったり、公職についているなどの典型的な公人と
いう立場になかったにしても、必ずしも一般の私人とは言い切れないことも事実で
ある。 

と記している。

ただあまりにも暴露の内容がえげつなかったので、「受忍の限度を超えている」と判断された。

https://www.bpo.gr.jp/wordpress/wp-content/themes/codex/pdf/brc/determination/2005/28/dec/0.pdf

たかじん胸いっぱいは当時テレビ埼玉で放送されていて、ちょくちょく見ていた。

当時はTverもなければYouTubeなども盛んではなく、関西ローカルのテレビ番組を見る機会が少なかった。

そういう意味ではものすごく刺激的で、関東で何でこういう番組をやらないのかと学生ながら憤っていた記憶がある。

たぶんこの回も見てたと思うが、個人的に例の女優さんが生理的に受け付けておらず、めちゃイケでたまに出る回もあんまり楽しめなかった。

やしきたかじん自体がああいうキャラなので、ウケようとしてついつい盛り過ぎた、言い過ぎたというのもあったんだろう。

こうやって見返してみると、面白さ・わかりやすさありきでついつい踏み込み過ぎてしまった案件が目立つ。

これは今にも通じる問題であり、この手のケースは増えそうな印象を受ける。


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