違和感の解剖図:勝負事とエンタメの不都合な真実

競馬、ボート、Mリーグからテレビ批評まで。世間に漂う「建前」を剥ぎ取り、その裏に潜む違和感の正体をロジカルに解剖する。単なる感想を超えた、不都合な真実の記録。


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粗品「YouTuberおもんない」論争の本質|芸人とYouTuberの「面白さのフィールド」と、ネタ離れ後の未来


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霜降り明星の粗品が「YouTuberおもんない」と発言し、元雨上がり決死隊・宮迫博之とバトルするなど、定期的に「芸人とYouTuber、どちらが面白いか」という話題になる。

個人的には、バカげた議論としか思わない。

それぞれがそれぞれのすごい人を引き合いに出すから、そりゃ結論は出ない。

「目玉焼きにかけるのは醬油?ソース?」レベルのしょうもなさがある。

そんなもんは一人一人が決めればいいのであって、正解不正解なんぞ存在しない。

粗品自身はYouTuber全否定という感じでは一切なく、あくまでも面白いか面白くないかという点で議論を作り出そうとしているのは理解できる。

これに対し千鳥・大悟は、「別の芸人のファンをいかに笑わせるか」が芸人の基本、YouTuberは「自分のファンをいかに笑わせるか」でやっていて、戦い方が違うという話をしていた。

確かにYouTuberは一見さんを意識した作り方をしていないように思う。

いわば身内ノリ、内輪ネタを重視しているから、面白くないと感じるのもうなずける。

迷惑系YouTuberは電波少年の再来

そもそもYouTuberは海外の職業という印象を自分は受けており、日本人がアジャストするのは大変だと思う。

世界のYouTuberは色々とやることのスケールが違う。

日本で無賃乗車を行い、猛批判を受けたキプロスの迷惑系YouTuberが欧州議会の選挙に出て当選したという。

EU全体で720議席、キプロスは最少の6議席しかない中で、このYouTuberは全体の3位で当選しており、そこそこの支持は得られたと言える。

イーロン・マスクなど著名人とハグする、棺桶の中に1週間暮らしてみるなど、よくよく考えるとやってることは『電波少年』の企画のようなものだ。

松本明子や松村邦洋がタイトルコールをすれば、まさしくそれである。

90年代初頭の電波少年なんかは、まさに迷惑系YouTuberのようなことをしている。

それゆえの面白さというのはあるにはあるが、芸人に対して使われる「面白さ」とは違う

同じ土俵で争うというのは違うように思う。

その点では、宮迫博之も芸人ではなく、本当の意味でのYouTuberである。

芸人としてのネタではなく、YouTuberに順応し、YouTuberに求められる素養を身につけ始めてきた人だ。

求められるのは「人間としての面白さ」

芸人はひねくれた視点・モノの見方をしないとやっていけないが、それでいて常識的な感覚を持ち合わせていないことには、何がひねくれているかもわからない。

変なことを変であると認識できるかどうか、ここがポイントだろう。

YouTuberは、常に数字を突きつけられているからか、とにかく現実と向き合い、風を巻き起こす必要がある。

自分の状況を、自らが一番わかっていなければ簡単に人気は落ちてしまう。

芸人もYouTuberも求められる部分はそこまでは変わらない。

結局、ネタとしての面白さか、人間としての面白さか、というフィールドが違う。

霜降り明星もさらば青春の光も、登録者数を順調に増やすタイムマシーン3号も、ネタ・人間味どちらも面白い人である。

しかし、多くの芸人はネタだけが面白く、人間としての面白さが出ている人は限られている。

YouTuberは人間として面白い人は多いが、ネタが面白い人は相当限られる。

面白いのフィールドが違うのだから、そりゃ相いれないわけだ。

粗品が「YouTuberおもんない」と思うのはそりゃそうだろう。

でも、人間としての面白さを持つYouTuberは、下層を含めてたくさんいるのではないかと自分は思う。

事実、HIKAKINやヒカルなど超大手は一切見ないが、銀の盾をどうにかこうにか得られたようなYouTuberを中心に登録して見ている。

粗品の言う通り、面白くはない。

でも、人間味あふれる人が多く、色んな意味で魅力的な人がこうもいるかと驚くばかりだ。

芸人はすべてをさらけ出さないが、YouTuberはどんなプライベートもさらけ出す。

芸人がYouTuberを侮蔑し、嘲笑する傾向は、年々強まっているように感じるし、ある種必然と言える。

でも、そんなことができて、旨味が感じられるのはそう長くはないように自分は感じる。

ネタの面白さそのものが物差しにならない時代が来ても何らおかしくない。

そうなれば、芸人は無力となる。

若者の音楽離れが指摘されているが、いずれ若者のお笑い離れ・ネタ離れが訪れる。

その時に武器となるのは、人間としての面白さではないだろうか。


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