違和感の解剖図:勝負事とエンタメの不都合な真実

競馬、ボート、Mリーグからテレビ批評まで。世間に漂う「建前」を剥ぎ取り、その裏に潜む違和感の正体をロジカルに解剖する。単なる感想を超えた、不都合な真実の記録。


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広島カープ・羽月隆太郎はなぜ任意同行から逮捕までラグが生じたのか?「故意」の認定と法的ハードル


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現役の野球選手が薬物事件で捕まるのは前代未聞である。

厳密に言えば、元近鉄のデービスが大麻取締法違反で逮捕されたケースがあり、史上初ではない。

ただ日本人の選手で、まして違法薬物、ゾンビたばこなるもので逮捕されるなんて前代未聞と表現していいだろう。

ネット上では羽月隆太郎に対する怒りの声ばかりで、それは当然。

色々気になるのは、12月に任意同行があり、なぜ今の今まで逮捕されなかったのか。

証拠隠滅の可能性が少ないと判断したのかもしれないが、タイムラグに違和感を覚える。

ゾンビたばこは昨年違法化されたため、検査体制が整っていないなどの事情はあるらしい。

とはいえ、このタイムラグは関係先に時間稼ぎの余地を与えているような気がする。

そして羽月隆太郎が今の今まで、任意同行をされた事実を広島東洋カープ側にしていなかった。

まさか、「逮捕するかどうかは追って連絡しますので、それまでは内密に」なんて警察から言われるわけがない。

陽性と出て、その場で逮捕されてもおかしくない話である。

加えて、この間、ソフトバンクの周東佑京なども参加した自主トレに行っている。

ちなみに周東佑京は、1月23日まで契約更改がもつれており、この事件の影響があったのではないかと指摘されている。

ただ1月22日まで種子島での自主トレを行っており、さすがにそれは勘ぐり過ぎなのかもしれない。

12月16日に任意同行があり、12月22日には少年野球イベントに参加している。

もしかしたら捕まるかも…という気持ちの中で、笑顔を振りまいていたとしたら、相当な役者というか、ある意味プロである。

 

羽月隆太郎は容疑を否認している。

違法薬物を使った覚えはないということらしいが、ならば、一連の動きは理解できる。

違法だと思っていないわけだから、イベントにも自主トレにも堂々と参加できる。

ただ陽性判定は普通その日に出るもので、普通その場で伝えそうなものだが。

何者かに騙された可能性もある。

ちなみに覚せい剤使用の罪に問う場合、覚せい剤を故意に使用したという認識が必要なのだという。

覚せい剤だとは思わなかったと言い張り、認められれば罪に問えないことになる。

ただ覚せい剤とは知らなくても、「なんか怪しいドラッグかも」みたいな認識では故意に使用したと判断されてしまうらしい。

しかも、よほどの事情がない限りは裁判所は故意に使用したと推認する傾向にあるようだ。

仮に羽月隆太郎の主張が認められ、本当に知らなかった、ハメられたと認定され、不起訴になったとする。

じゃあ広島東洋カープで即現場復帰…とはおそらくならないだろう。

今回ネットで聞かれるのは、「アスリートなのになんでそんな得体のしれないものを…」といった意見。

怪しげなものを吸った時点で、それはアスリートとしてどうなの?というレッテルが貼られてしまっている。

例えば、羽月隆太郎が嫌煙家で本来その手の物は一切吸わないが、ある時手足を縛られ、口に無理やり吸引器を突っ込まれたのであればまだしも、そんなストーリーは下手な小説家でも書かないし、妄想と切り捨てられるだろう。

1ヶ月のタイムラグはありとあらゆる可能性を消そうとした結果だとすれば、納得できる。

否認している以上、最大限主張は尊重するが、一罰百戒に使われたのだろうなと感じる。

 

個人的には、たとえ自白して、羽月隆太郎が刑事処分を受けたとしても、今年1年は謹慎、来シーズンは育成からやり直しというなら、それでいいように思う。

前代未聞の事件といえば、2015年の巨人選手が関与した野球賭博問題があった。

2016年に高木京介も同様の罪を犯し、1年間の失格処分を受けた。

その時も本人は当初否定していたが、のちに自供している。

1年間の失格処分に甘いという意見が多く寄せられたようだが、1年間母校のグラウンドで練習を重ね、しっかりと反省し、翌シーズン育成選手で復帰した。

2018年に支配下登録され、2019年には55試合に登板し、2023年に現役を引退している。

野球賭博も違法薬物も同じ罪であり、どちらがどうだから厳罰というものではない。

せっかく高木京介という前例がある以上、これに乗っかっていいように思う。

そもそも過去にはプロ野球選手の脱税騒動もあり、罪を犯してから現役に復帰する事例は山ほどある。

それらが全部甘い判断だったと切り捨てることは可能だろう。

しかし、あまりにも短絡的な考え方であり、再犯につながりかねない。

大事なのは再犯を防ぐための教育と意識改革、そして見捨てない気持ちである。

高木京介は星稜高校の出身で、大先輩の松井秀喜から「結果でなく姿勢」の重要性を語られた。

羽月隆太郎に対してもそうした接し方が求められる。

山本祐大のように未成年喫煙から更生して立派な戦力になった人もいる。

自分は広島ファンではないが、仮に起訴されて裁きを受けて執行猶予などの処分が出たとしても、更生することを信じたい。


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