伊東純也の件は刑事事件としては不起訴の公算が大きく、虚偽告訴容疑がある相手の女性がどういう扱いになるかが焦点となる。
書類送検という言葉は、あたかも悪いことをしたのが確定したように思われるが、実際は単に「捜査書類を検察に送った」という事実に過ぎない。
山下智久が路上で一般人と揉めた際、器物破損の容疑で書類送検されたのは2014年。
しかし、フジテレビなど一部のメディアは「捜査書類を送付」と報道した。
「捜査書類を送付」は何も間違ってはいない。
でも、どんな事件でも書類送検と扱いながら、山下智久の件など限られた時だけ「捜査書類を送付」と報道した。
不起訴の公算大であれば、「捜査書類を送付」で済ませられそうなものである。
伊東純也の件は捜査書類が検察に送付され、最終的に不起訴の公算が大きいと報道されれば、少なくとも書類送検の字面より多少は落ち着きが出る。
日本人は逮捕と書類送検にあまりにも敏感で、さも犯罪者確定のような印象を持ちやすいが、そもそも起訴されただけでも別に犯罪者と認定されたわけではない。
あくまでも検察が被疑者を刑事裁判で裁くための手続きのプロセスの1つである。
同時に、「不起訴だから一点の曇りもない無実」というわけでもないことを意味する。
伊東純也の件は民事でもいいので、ちゃんと白黒をつけないと損害がそれなりに出ているだけでなく、名誉回復も必要である。
しかし、メディアが時折見せる「変な肩書きありの報道」はお笑いなのかなと思わせる。
2006年にUVERworldのTAKUYA∞が警官の帽子を飛ばすような形で振り払って逮捕された。
この時、一部のメディアが、「人気ロックバンド『UVERworld』のTAKUYA∞(本名清水琢也)ボーカル」と書いた。
清水容疑者でいいだろうし、清水氏でもよかったはずである。
清水ボーカルはもはやそういう名前である。
のちにTAKUYA∞は、作詞作曲で「凛句」という歌を作った。
失ってから気づいたことがあるみたいな歌だが、色んな後悔があったはずである。
TAKUYA∞にとっては、2006年でよかった。
これが2024年で、清水ボーカルなんて出ようものなら、SNSで一生ネタにされるだろう。
2006年のニュースなので、検索しても記事自体が出てくるというより、記事を引用したブログがヒットする。
山Pの件は2014年とSNS全盛だから、画像にも残されており、特異さがすぐにわかる。
伊東純也は不起訴である以上、捜査書類を送付の上、不起訴となるみたいに報道できたはずである。
なぜそれをしなかったか。
調べてみると、他にも捜査書類送付での報道はあった。
不起訴の可能性が高いからそのような書き方になったのではないかという解説まである。
そこまでの配慮をなぜ示せなかったか。
あえて嫌な表現をするが、メディアは相手を腐してメシを食うのが仕事である。
だから、配慮なんぞする気もないのだろう。
そもそも書類送検は法律用語でもなんでもない。
警察が告訴を受理したら、たとえ無実だろうがなんだろうが、すべて書類は検察に送られる。
そういう決まりである。
そこまで含めて報道したメディアはどこまであるのだろうか。