オジュウチョウサンが素晴らしい走りをし、多くの人が感動した。
残念ながら売り上げにはつながらなかったが、これは致し方ない。
好敵手となるような相手がいなかった。
いつまでも9歳、10歳、11歳の馬たちがいずれ注目度は落ちる。
地方競馬を好きになったのも障害レースを見るようになったのも、今思えばどん底の時期だった。
地方競馬も障害レースもここまで注目されるなんて、いまだに信じられない。
そして、本物のブームなんだろうかと常に疑問を感じる。
本場での売り上げがなかなか伸びない現状では、いずれ頭打ちになるだろう。
1人だけ1頭だけスターが出てもその業界全体が成長しないのは、スポーツの業界を見れば明らかだ。
オジュウチョウサンだけしかスターがいない障害の世界の寿命は案外早いかもしれない。
だからこそ、オジュウチョウサンが現役の時に目の前で見られたのは幸せなことだ。
アップトゥデイトのパーフェクトな逃げに、オジュウチョウサンは力で勝った。
後にも先にもレースを見て泣いたのはこれだけ。
その翌日、2017年の有馬記念。
あまりにもドッチラケな結果というか、キタサンブラックが、武豊の威光を利用して落ちてた数億円を拾うだけのレースにガッカリした。
キタサンブラックという馬は決して弱い馬ではないが、何を語ればいいのかがわからない馬だ。
キタサンブラックがどのように強かったのか、説得力ある言葉で語る人間が今後出てくるのか。
今年の皐月賞、所属騎手に暴行を働き、前科がついた調教師の馬がワンツーフィニッシュ。
あの事件の事には誰も触れずにワンツーフィニッシュの素晴らしさを業界人たちが語る光景はホラーだ。
上記の記事に木村哲也に対することは書いたので、読んでほしい。
オジュウチョウサンが素晴らしいレースをすればするほど、翌日の大レースで辟易させられることが多い。
さすがに20年皐月賞のコントレイルや去年の有馬記念のエフフォーリアには辟易なんかしなかったが。
お前が馬券をとっていないから単に悔しいだけなんだろうと指摘されることがある。
確かに辟易したレースでは箸にも棒にも掛かっていない。
ただオジュウチョウサンが勝ったレースで、オジュウチョウサンの馬券は1円も買っていないが、心の底から祝福できる。
最初はどうにかオジュウが負ける理由を探し、買わなかった。
昨年の東京ハイジャンプでついに実を結ぶまで、やられ放題だった。
本当に強いと思えば、ちゃんと強いと言える。
あなたは馬券がとれなきゃ勝ち馬への祝福ができないんですか?と面と向かって言いたくなったことが何度もあるが、そうなるとケンカである。
その時の騎乗ぶりがオーナーからすれば不満だったという。
しかし、障害の絶対王者になってから、開成山特別など平地を6戦し、1秒以上の大敗はアルゼンチン共和国杯しかない。
着順こそ悪いが、有馬記念もステイヤーズステークスも1秒以内の負け。
ここ2年は負けるレースも増えてきたが、すべて3ヶ月以上の休み明け。
叩き2戦目で障害で負けたのは7年前の中山大障害までさかのぼらないといけない。
調教技術は進化しても、年齢の衰えが永遠の課題となるのは馬も人も同じである。
オジュウチョウサンの走りを中山で見れるのは、無事ならばあと1回だろう。
2022年の中山大障害。
サトノパシュートは経験値が浅い中で健闘した。
この馬がオジュウチョウサンに引導を渡すようなレースが見たい。
若手が争う展開にならなければ、障害レースはまた注目されなくなる。
でも、オジュウチョウサンが引退レースを勝利で締めくれれば、現地で泣くだろう。