15年間在籍したスマイルカンパニーとのマネージメント契約が中途で終了になりました。
— 松尾潔 (@kiyoshimatsuo) 2023年7月1日
私がメディアでジャニーズ事務所と藤島ジュリー景子社長に言及したのが理由です。
私をスマイルに誘ってくださった山下達郎さんも会社方針に賛成とのこと、残念です。
今までのサポートに感謝します。バイバイ!
山下達郎とジャニーズの関係性はとても深く、この組み合わせによる名曲も多い。
代表的な曲は「硝子の少年」だろう。
あとCMのみで使われた湾岸スキーヤーが、のちにアレンジされて少年隊が歌うことになり、長野オリンピックのテーマ曲で使われた。
その少年隊の東山紀之が「LOVELAND,ISLAND」のPVに出演し、キレのいいダンスを披露している。
サブスクには手を出さないなどこだわりがある山下達郎が、カセットテープやアルバムのプロモーションで公式YouTubeチャンネルを立ち上げ、懐かしい楽曲を披露している。
昔から山下達郎は好きなので、1つ1つの仕事にこだわりをもっている姿勢なども尊敬に値する。
ゆえに、今回の松尾潔のツイートに端を発する山下達郎バッシングはびっくりではあるが、いくつかの問題点があると感じた。
1つは松尾潔のツイートでしか山下達郎のスタンスが明らかにされていない点である。
本人がその旨をはっきりと伝えたわけではなく、本意ではない可能性が高い。
松尾潔の所属事務所だったところは事実上山下達郎や竹内まりやの個人事務所なのだから、マネジメント契約を途中で打ち切った時点でそれが答えではないかという声もある。
しかし、現状では松尾潔の言葉だけが先行しており、過度なバッシングになっている気がしてならない。
2つ目は山下達郎自身の変化にある。
毎週放送されているサンデーソングブックは、自分も以前はちょくちょく聞いていたが、新型コロナウイルスが猛威を奮い始めた時期に、コロナ報道に辟易した態度を露骨に見せるようになった。
政権批判の動きに苦言を呈するなど、何を思ったのか、政治色を少し混ぜるようになってきたので、最近は聞かなくなった。
今回のバッシングはコロナ報道への辟易、政権批判への苦言なども絡んでいるように思う。
バッシングを盛り上げる面々を見れば明らかである。
そして、3つ目は山下達郎がなぜジャニーズと仕事をしてきたかにある。
小杉理宇造は1970年代に山下達郎と出会い、同時期にジャニー喜多川とも知り合っている。
上記の記事は2002年のインタビュー記事だが山下達郎との出会いや契約に至るまでの話なども書かれている。
YouTubeチャンネルの立ち上げは元々昔発売されたアルバムなどのリマスターを発売にするために行われたもので、苦労して山下達郎を口説き落とし、小杉理宇造の人脈が功を奏して作られたアルバムなどもある。
インタビューを読んでいると小杉理宇造という人はすごいパワーがあり、今ですら大問題になりそうなことを、数十年前にやっていた。
そして、小杉理宇造はこんな言葉をインタビューに語っている。
今はスマイルカンパニーで、達郎さん、まりやさんを中心にやっているでしょう。生意気だけど、自分が一緒に過ごしてきた時間が多い人達が幸せになるにはどうしたらいいか、仕事は成果を上げなくちゃ幸せにはならないから、いっしょにやってきた仲間たちが成果をあげるのを見たいんです。僕はもう充分成果をいただいたから。
もう一つはジャニーズグループのスーパーバイザーみたいなことをやってるけど、僕はジャニーさん、メリーさんという人間が大好きで、この人たちが僕を必要としている限りはお役にたちたい、ただそれだけです。だから目標はもうふたつしかない。達郎、まりやが続ける限りは手助けしたいということ、ジャニーさんメリーさんに必要とされる間はお手伝いしたい、このふたつなんです。引用元:musicmanリレーインタビュー
山下達郎がジャニーズとの関係性が深くなるのは当然である。
松尾潔のジャニーズ批判が何をもたらすかは、組織に所属したことがある人ならばわかるはずだ。
小杉理宇造は退任したが、その息子がスマイルカンパニーの社長を務めている。
その状況において、ジャニー喜多川の性加害に苦言を呈することは山下達郎にはできないだろう。
それだけ根深い問題であり、まだまだ解決には至らない。
それでもメディアは様々な理由でジャニー喜多川の性加害問題を触れなければ、タレントを起用し続けるだろう。
タレントに罪はないならば、作品や料理にも罪はないはずだが、どうもそこまでの主張はメディアはしてくれないようだ。
個人的には、罪があるかどうかはファンが決めればいいし、ファンが不買運動を起こせば自然と罪が生じ、いずれ倒れるだろう。
しかし、アイドルファンは推しのメンバーを人質にとられているようなものだから、不買運動なんか起こせない。
だから、批判に耳を貸さないどころか、批判する人間への攻撃を強める。
メディアもそんな人らの相手をするのは嫌だろうから、何とか事なかれ主義でかわそうとする。
多少の批判を浴びてでも起用し続けた方が得が多い。
そこに真実の追求などは一切ない。
松尾潔の株はストップ高となり、一時的でもヒーロー扱いをされるだろう。
しかし、そのヒーロー扱いはあまり長続きせず、面倒な客だけがついてしまう。
それはここ数年のネットの動きやネットでヒーローになった人間の近況を見れば明らかである。
メディアは全無視するのか、ネットメディアだけが取り上げる事態となるのか、今後に注目したい。