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山下達郎バッシングにも通じる、日本で不買運動は成功するのかについて


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「山下達郎 不買運動」でお越しいただく方が結構多いため、不買運動で一本記事を書こうと思った。

韓国では日本製品の不買運動が一時期行われたが、いつの間にかなくなっていた。

不買運動は効果があるようなイメージを持つ人は多いが、日本において不買運動はうまくいかないと自分は思っている。

日本は集団心理が働きやすいから不買運動もうまくいきやすそうだが、日本人は欧米の方たちよりも個人主義が強いと感じる。

欧米だと、人種差別など何かが起きた時に色んな組織の垣根を簡単に越えて、連帯を見せられる。

普段は個人で動くが、何かあった時は連帯できるが、日本だと仕方なく集団で動き、何かあっても動けない。

特に本業に関係のない、趣味のフィールドにおいて、ファン同士が結束することはほとんどない。

草の根からムーブメントを起こす経験が歴史的にも乏しいため、不買運動を起こしたところで、そんなのは個人の自由だから!と一蹴されやすい。

個人の自由というより、人にとやかく言われたくないだけなんだろうが。

普段は仕方なく集団で動く日本人は、個人に裁量がある場合に、人にとやかく言われたくないと感じやすいと自分は思っている。

人にとやかく言われたくない人がたくさんいる中で不買運動を起こしたところで、効果はあるんだろうかと不買運動を呼び掛けることに強い疑問を感じる。

山下達郎のCDは買うな!不買運動だ!と言ったところで、ほとんど効果はないだろう。

 

ジャニーズ事務所を支えるのはCDなどもそうだが、ファンクラブ会員の会費も大きい。1年目は5000円ほど、2年目からは4000円ほどだが、人気のグループだと100万人、普通に活動していても50万人ほど。

100万人もいれば、年間40億円が入り、50万人でも20億円。

これが5個も10個もあればそれだけでジャニーズは年間100億円以上の収入があり、加えてCDやらグッズやらの収入を加味すればちょっとやそっとのことでは揺らぐことはない。

しかも、活動休止中の嵐のファンクラブ会員は300万人もいて、いまだに継続中。

ここだけで120億円も入ってくるわけだ。

ファンたちが連帯して一斉にファンクラブを辞められるかといえば、絶対にできないだろう。

ライブ参加を何回もお休みする覚悟で辞めるなんてできないし、タレントに罪はないのになぜ…と思うのが普通である。

ジャニーズ事務所が山下達郎などを巻き込んでもなお泰然自若としていられるのは、どんな状況であれファンは減らないと見切っているからだ。

滝沢秀明がTOBEを作り、どれだけ元ジャニーズメンバーを集めたって、雪崩を打つようにファンが流れ込むとは思えない。

あったとしてもTOBEとジャニーズの掛け持ちだろう。

ジャニーズでこんな状況なのだから、山下達郎のCDは買うなと不買運動を起こしたところで影響はあまりない。

 

山下達郎は、現在「TATSURO YAMASHITA RCA/AIR YEARS Vinyl Collection」という、以前発売した作品をカセットテープやレコードで販売している。

今若い世代の中にはカセットテープで音楽を聴く人もいるらしいが、正直懐疑的である。

いるとは思うが、ラジオ好きの若者ぐらいの出現率のような気がする。

よほどこだわりがないとカセットテープやレコードを令和の時代に買おうとは思わない。

よし!「TATSURO YAMASHITA RCA/AIR YEARS Vinyl Collection」の不買運動だ!と言ったところで、カセットテープのウォークマンもレコードプレーヤーもない人たちは言われなくても買わないだろう。

「TATSURO YAMASHITA RCA/AIR YEARS Vinyl Collection」を買うのは熱心なファンであり、おそらく作品と人物を切り離せる人物である。

山下達郎はその点も重々承知して、世間的には評判が芳しくない最後の一言を放ったのかもしれない。

個人的に、「嫌なら見るな!」的な一言は言うか言わないか別にして、誰もが心の中で思っていることではないかと思っている。

それを批判するのは、いずれ自分が守勢に立たされた時にそっくりそのままお返しされる行為であって、その批判自体が悪手に思える。

「嫌なら見るな!」に対抗するならば、「あなたの嫌なところを観察し続ける趣味を持ってるんです!」とでも言えばいい。

「嫌なら見るな!」に嫌悪感を持つ人は結局のところ、拒絶の言葉に反射的に反応してしまったのかもしれない。

山下達郎の矛盾をあぶりだそうとする人が最後の一言に反応するのはわかるが、売り言葉に買い言葉のレベルから脱しているとは思えないのだが。

 

ちなみに日本で不買運動が成功した事例は一応あるそうだ。

カラーテレビ不買運動と呼ばれるもので、当時の松下電器を相手に行われたとされ、パナソニックの社史にもその様子が書かれている。

今みたいに全国的にヤマダ電機やビックカメラがあるわけではないし、価格.comでチェックできるわけでもなければ、Amazonなどもない。

そして、カラーテレビそのものへの需要の高さもあった。

いわばメーカーがイニシアチブを握れる時代であり、メーカーが設定する価格って本当に正しいの?水増しじゃないの?的な話である。

海外で売りに出されているカラーテレビ、当時もあった安売り家電の店、そして商店街にあるような電器店での値段がまるで異なることに、主婦の怒りが爆発した形だ。

実際に買い控えの効果はあったようで、本来ボーナスで在庫を捌かないといけないのに在庫は増える一方。

これではいけないと松下幸之助が決断し、提案を受け入れる形で二重価格問題は解決する。

国民生活センターが設置されたのもカラーテレビの二重価格問題の時期と重なるなど、日本における不買運動の成功例は今にも通じるような成功だったと言える。

あとは当時サントリーの社長だった佐治敬三が東北地方をバカにする発言をしてしまったことで、東北地方でサントリーの不買運動が起きた。

Wikipediaを見る限りは東北でも多少温度差はあったようだが、結局佐治敬三は謝罪に追い込まれてしまう。

この場合の不買運動は若干官製的なものもあり、消費者から巻き起こったものとは言い難い。

www.itmedia.co.jp

2020年に大坂なおみがバッシングを受け、スポンサーの日清食品の製品を買うなという不買運動が起きたらしい。

3年前の話なのに自分は全く記憶がない。

大坂なおみをあれだけ攻撃していたのに、いざ不買運動となると一切のムーブメントにならなかったそうだ。

韓国だと日本製品の不買運動があった際、若い世代はさほどなびかなかったなど、不買運動自体が1970年代あたりの手法なのかもしれない。

不買運動は時代遅れとは言わないが、ついつい言いたくなる脅し文句的なものと解釈すべきなのだろう。

山下達郎のカセットテープやレコードの不買運動なんてあまり現実的ではない。

ニューアルバムも昨年販売しており、次はいつになるかもわからない。

不買運動を起こせるならば、7月26日に発売される山下達郎の新曲「Sync Of Summer」だろうが、こちらも効果は乏しく、売り上げ枚数の少なさを嬉々として紹介するぐらいだろう。

あとはその新曲とタイアップした午後の紅茶の買い控え。

これも筋が悪いだろうし、自分みたいに一切紅茶を飲まない人は不買運動にすら参加できない。

あと、嗜好品で不買運動を起こされ、それを購入してごちゃごちゃ言われるのは自分だったら嫌である。

山下達郎に不買運動を起こしたところで、どれもこれも筋が悪い。

その労力を割くなら、山下達郎の過去の発言、特にラジオなどを洗いざらい検証して、こいつこんなこと言ってたぞ!と書き起こした方がいいように思う。

そして、色んな曲を見聞きしてぜひともミイラがミイラ取りになるようなことになっていただきたい。


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