レディースオールスターで長嶋万記がついにタイトルをつかんだ。
レディースオールスターは今回に限らず、とにかく事故が多い。
平高奈菜がF3の憂き目に遭ったのもレディースオールスターであり、優勝した長嶋万記が転覆の際に脳震盪を起こしたのもレディースオールスターである。
若手選手は荒いというか雑なので、時にダイナミックなレースもやるが、単に危険なレースもやってしまう。
まして蒲郡に吹き荒れた風がベテランにすら牙をむく。
日高逸子が非常識なフライングを切ったほか、香川素子が出遅れ返還に追い込まれる。
準優勝戦は優勝間違いなしと言われた遠藤エミが、平高奈菜のドカ遅れと高田ひかるの奇襲で大敗を喫した。
前年優勝の守屋美穂が無理なジカまくりを敢行して、田口節子の差しを許す展開を作った。
そんな中で長嶋万記は準優でも優勝戦でもイン逃げを決めた。
準優ではエンスト、優勝戦では変則的な風に見舞われるも、冷静に対処している。
レディースオールスターは単なるオールレディース、そんな切り替え方もよかったようだ。
あの記事を書いて1か月後に長嶋万記はタイトルをつかんだ。
ならば、その次に名乗りを挙げような女子選手を探してみたい。
それは西橋奈未だと断言する。
ボートレースが好きになって数年程度だが、好きになり始めたタイミングでこの女子レーサーはすごいと言われていたのが西橋奈未だった。
6コースからバンバン勝っていく、ターンも鋭く、スタートもギリギリを突っ込んでいくのがかっこよく思えた。
それからちょくちょくレースを見るようになったが、思い切りの良さを随所に感じるようになった。
しかし、思い切りが過ぎる部分も多々見受けられる。
まずフライングがここ数年で目立ち、非常識なフライングが目立っている。
しかも直近の2回は地元の三国。
特に最後のフライングがあった52022年11月6日は5艇のフライングである。
成績こそA級を維持しているが、どうにもA1で安定しない。
ちなみに3月1日時点での後期級別審査では女子選手の中で勝率がトップである。
だったらいいではないかという話だが、事故率を見ると、勝率上位者では突出して事故率が高い。
前期も事故率が高く、結果的にレディールオールスターは選出除外となっている。
3月時点の事故率でもレディールオールスターの選出除外の対象となってしまう。
無事故であることは好レースの根底にあり、事故のあるレースが伝説のレースとして語られにくい。
そして、事故率が高くなると成績が落ちやすくなっていく。
なぜなら一定の事故点に達すれば強制的にB2になってしまうからだ。
すると、それを避けるために攻めたくても攻められないレースが続く。
清水愛海が事故パンで苦しんだ時期、「500年に1度の逸材」とは全く思えないレースぶりが続いた。
期が変わって逸材らしい走りをすぐに見せたが、それだけ事故率はシビアである。
ちなみに事故率の高さは、3月1日時点でA2級の成績しか残せていない平高奈菜にも当てはまる。
いかに事故点を減らすか、これが西橋奈未の課題ではないだろうか。
とはいえ、女子選手勝率1位、唐津でもしっかりとイン逃げで優勝するほか、初優勝は男女混合戦である。
男子レーサーに混じっても問題ない、あとは三国で結果を出すだけだろう。
地元で初優勝してからすべてが始まるといっても過言ではない。
西橋奈未は地元でやらかすことが多いので、余計に空回るのだろうか。
119期のやまとでの成績を見ると、女子選手の中で西橋奈未はちょうど真ん中。
上の2人は土屋南と實森美祐で、2人とも卒業記念競走の優勝戦に出ている。
真ん中と称したが、すぐ下に孫崎百世と福岡泉水がおり、正直差はわずかだった。
決して抜きんでた存在ではなく、可もなく不可もなくという表現で足りるかもしれない。
しかし119期のここまでの成績を見ると、リーグ戦最高勝率だった井上忠政に次いで2位の成績を残す。
可もなく不可もなくという状態を維持する程度、意識が上向かない中ではここまでにはならない。
師匠は昨年もG1を勝っている松田祐季。
やはりバリバリのA1レーサーを師匠にすると気持ちはガラッと変わる。
その最たる例は森高一真に弟子入りしてから一気に勝ち星を量産した谷口佳蓮だ。
やまとでもさほど勝率を残せない中、気づけば127期の中でも清水愛海や川井萌に次ぐ、いや、肩を並べた存在と言っていい。
師匠選びはとても大事だ。
西橋奈未はSGのオールスターにも選出される可能性があるなど、今年多くの経験値を得る。
そして、足りない部分を痛感させられる。
それは気持ちなのか、技術なのか。
いずれにしたって、SGのオールスター出場を願い、色々なものを吸収してほしいと思う。
人気投票で出られるSGに価値はない、下手が出てくるレディールオールスターはつまらないと言う人もいる。
しかし、下手だとわかっているからこそ、実力不足を痛感することもあって、そこから意識が変わることだってある。
師匠によって意識がガラッと変わる人もいるのだから。
西橋奈未がタイトルをつかむのはそう遠くはない。
ただ長嶋万記と違うのは、心の鍛錬、スキルアップなどやるべきことが多い。
もう1つ上を目指すには、今年が勝負だ。