これを書いている2023年2月8日、中国地区戦の準優があった。
準優10レース、1号艇は山口達也。
4号艇には守屋美穂がいる。
この2人は元夫婦であり、2020年に守屋美穂が自らの口で離婚したことを発表している。
ただ、山口達也が行っているYouTubeに出演するなど、憎しみ合って離婚に至った感じには見えない。
とはいえ、ファンの側からすれば、元夫婦の対決はどうなるのかとついつい面白がってしまうものだ。
そんなことを知ってか知らずか、おそらくは一切気にしていないと思われるが、守屋美穂がお手本のようなまくりで1着となり、優出を決めた。
スロー勢が全員でドカ遅れ状態、守屋美穂は普通にスタートを決めただけなので、守屋美穂からすればラッキーだったかもしれない。
女子初のSG制覇は遠藤エミに譲ったが、実績や安定感を考えると女子でSGで複数回優勝できそうなのは守屋美穂だと自分は思っている。
男女混合のG2やG1、SGを勝っている女子選手は数えるほどしかいない。
1997年以降ではボートレースクラシックの遠藤エミ、四国地区戦の山川美由紀、尼崎の開設G1の平山智加、モーターボート大賞の宇野弥生、そして、同じくモーターボート大賞の守屋美穂。
調べてみると1950年代になると女子選手も優勝しているようだが、さすがにこの時期の選手をピックアップするのはどうかと思うので、艇国データバンクの情報を参考にした。
女子戦で無双しても、男性相手に勝てなければなかなか一線で戦い続けることは難しい。
だからこそ、男女混合のG2以上で優勝することはとんでもない快挙なのだ。
守屋美穂で思い出されるのは2021年のボートレースオールスターのドリーム戦。
6号艇の松井繁が前付けし、2号艇から5号艇がそのまま横にスライドする形となった。
5号艇だった守屋美穂は大外に。
スタートは3コースから5コースまでが凹み、守屋美穂は1号艇だった峰竜太、松井繁と同じタイミング。
当然守屋美穂は横がいないので絞りにいく。
何で女子選手は絞りにいかないんだ!とボートレースファンから根強い不満を抱くが、その不満に応えるかのように絞っていく。
4号艇、3号艇とまくり、2号艇もまくれそうなところ、2号艇の舳先が守屋美穂のモーターにひっかかり、バランスを崩して転覆。
6コースからまくりを決めてドリーム戦を勝つ、そんな夢のような話が現実になろうとしていたが、まさに紙一重だった。
この時、守屋美穂は救助艇の上から何度も頭を下げて、ファンに謝罪している。
しかし、多くのファンは決して守屋美穂の行いに非難の声を挙げなかった。
絞らなかったら事故にはなっていないが、強烈な不満が渦巻いていた可能性がある。
尼崎でまくってちょ~だいというまくりの企画戦を何度もやっているのもうなずける。
やはりまくりは気持ちがいい。
しかし、起きなくてもいい事故が起きやすくなる。
差しにも技術がいるが、まくりにも技術がいる。
それ以上に勇気と覚悟がなければできない。
守屋美穂に対して、事故を起こしながらも非難轟々とならなかったのは、それらの気持ちが見られたからだろう。
守屋美穂といえば「見ててください」が代名詞になっており、「見ててください」だけで誰を指すか、多くのファンはわかる。
SGのオールスターで思い切ってまくりにいったように、2022年のレディースオールスターでもまくりにいった。
ファン投票1位の期待に応えたまくり。
また2コース差しも女子選手の中では非常に上手で、宮島の女子戦で優勝した際、広島支部の山口剛がインスタグラムのコメント欄で賞賛するほどだ。
技術面では十分男子と戦えて、精神面でも様々な経験を重ねる中で鍛えられている。
だからこそ、ファンからの支持も集めやすく、レディースオールスターは再び1位、ボートレースオールスターの中間順位で4位、再びドリーム戦で乗れるチャンスが出てきた。
期待に応えようとし、その期待に見合う結果となり、更なる期待につながって、更なる結果を出していけば、自然と大舞台での活躍につながる。
「見ててください」の言葉が聞かれる限り、守屋美穂はどんどん強くなっていくはずだ。
ちなみにレディースオールスターの優勝インタビューでは「見守っていてください」と言っている。
大事なレースで優勝したら「見守っていてください」が聞かれるのだとすれば、そちらも多く聞けることを願いたい。