プロ野球の監督が2年目の途中で休養することは珍しいことではない。
しかも、途中休養後の成績を見ると、意外と好成績を残すこともあるので、早めの決断はポストシーズンの可能性を高める。
例えば、2010年のヤクルトは借金19で当時の高田繁監督が休養し、小川淳司監督代行へスイッチ。
その後98試合で59勝36敗3分、貯金23を稼ぎ、シーズン勝ち越しを決めた。
特にオリックスはやたらと途中休養が目立つが、その効果は十分にあった。
しかも、2020年の途中休養で中嶋聡監督代行へスイッチ、その後正式に監督になってからの成績は立派も立派である。
借金17でバトンを受け、その後立て直し、2021年、2022年と連覇を果たし、2023年も首位争い。
成功事例がある以上、途中休養に何の意味はないという考えはナンセンスとしか言いようがない。
ちなみに横浜の場合は途中休養の効果がほとんどなかった。
中日では途中休養のラインが借金15という噂があるそうで、その借金15に到達した。
となると、立浪監督は途中休養になる可能性があるが、実際はその気配は見られない。
理由はいくつもあるのだろうが、ケガ人に泣かされているのは情状酌量の余地を与えるだろう。
しかし、今の中日を見る限り、途中休養の方が立浪監督のキャリアを守る観点からいいと思う。
途中休養で引いて、捲土重来を期するのは今までも他球団であった話である。
原辰徳監督も初年度に日本一を経験しながら2年で退任を余儀なくされている。
その後の2年は巨人における暗黒時代になってしまったため、原辰徳監督が復帰し、あれだけの結果を残した。
解任された長嶋茂雄終身名誉監督は10年以上の時を経て監督に復帰し、悲願の日本一を果たし、ON対決も実現させた。
いずれのケースも途中休養ではないが、明らかに不穏な辞め方である。
でも、2人のキャリアが傷ついたかと言えば、全くそんなことはなかった。
一方で伊原春樹氏のように行く先々で結果を出せず、解任に陥るケースもあるが、この場合はコーチとしても呼ばれにくくなる。
1回目はまだいいが、2回目になると致命的で、よほど覚悟を決めて心中するぐらいでないと厳しい。
横浜を例に出すと森祇晶、大矢明彦の2人の監督が途中休養となった。
監督コーチのキャリアは途中休養をもって絶たれている。
途中休養を経験してもう現場には立てないと思ったか、それとも思われたのか、キャリアが途中休養で終わってしまうのは何とも残念である。
もちろん復活するケースもあり、2023年シーズンから阪神の監督に復帰した岡田彰布監督もその1人。
そして、オリックスの監督だったテリー・コリンズ氏がメッツの監督となり、15年ぶりのリーグ優勝を果たしている。
キャリアがそこで絶たれる可能性もあるが、復活することも十分にある。
まして立浪監督はまだ若いわけだから、途中休養に入るか、今シーズンを全うして辞任するか、いずれかの判断をしても研鑽を積めば次はまだある。
もちろん中日が奇跡の復活を遂げる可能性はあるし、奇跡のクライマックスシリーズ出場だって去年の阪神を見ていればない話ではない。
どうにも、途中休養が悪いことで、今までを無にする行為のように考える人がいるが、チームを思えば実はそう言い切れない。
発奮して好成績を残し、次につながるケースもある。
ネガティブに考えてしまうのは中日が過去に途中休養で芳しくない結果を残しているからだろう。
谷繁元信から森繁和へ、結局のところ似た者同士だったから効果が乏しかったという見方はできないだろうか。
仮に立浪監督が休養した場合、ヘッドコーチを務める落合英二氏が監督代行になるのだろう。
韓国でも二軍監督の経験があるなど、実績だけを見れば急場はしのげそうだ。
ただガラッと変わるかどうかは微妙で、そこが今の立浪監督の絶対的権力の弊害になっている。
早い話がお友達内閣なので、二軍監督を連れてこようにもお友達であり、大型連敗を記録するなど微妙である。
だったら、借金30になろうが40になろうが立浪監督に背負ってもらうのがいいが、これだと立浪監督のキャリアがズタズタになる恐れも。
中日を代表する大打者であり、ボロ雑巾のような状態にさせるのは、他球団のファンでも違和感を感じる。
もう少し大事にしてほしいと思うとなると、本当は今が途中休養の適した時期なのかなと思う。
もしくはすべてを無にする覚悟で立浪監督の長期政権を築くのも面白い。
その場しのぎではなく、フロントが腹を括って決断をするしかない。
それが長期政権なのか、途中休養なのか、途中解任なのかの違いに過ぎない。
結局、フロントがどこまで覚悟を決め、自らのキャリアを犠牲にしてでも決断できたかにかかっている。