音声トラブルの影響でテレビを見ている人にスパイクのネタの冒頭が聞き取れなかった。
この段階で国民投票を取りやめにする英断を下したのは見事だった。
万が一3組で審査員6人の票を2票ずつ分け合った場面になったら、大変なことになる。
国民投票を取りやめにした代わりにスタジオのお客さんの投票で決めるというのもよく決めたと思う。
最近はいかに公平性を保つか、そこに各お笑いレースが苦慮しているように感じられる。
奇しくもM-1敗者復活戦もTheW方式となった。
最初に出てきたコンビと次のコンビの勝者が暫定勝者となり、次に出てくる挑戦者と対戦する方式で各ブロックの勝者3組を決めていく。
この時に審査を行うのがお客さんで、しかもランダム、この部分はTHE SECOND方式だ。
そして、3組の勝者の中で芸人審査員が投票を行うという。
芸人審査員の規模にもよるが審査員の数が多ければ初期のキングオブコント方式になる。
ここ数年は国民投票方式で結局人気投票状態になった。
当日のくじ引きで決まるようになったこともあり、敗者復活戦組が常に最終決戦に残るパターンはここ数年はなくなっていた。
2016年2位の和牛を最後に敗者復活組の最終決戦進出は遠ざかっている。
20年のインディアンスはトップバッターなので致し方ないが、ここ数年は敗者復活組が下位に沈んでいる現状もあった。
今回もトップバッターになったら仕方ないが、ここ数年の状況にはなりにくそうだ。
いかに公平に評価するか、これはここ20年で様々な議論がなされてきた。
最も印象深いのは第1回のキングオブコントである。
先ほどもご紹介したが、初期のキングオブコントは準決勝で敗れた芸人が採点する方式だった。
しかも最終決戦は、最終決戦に進めなかった芸人6組の投票で決まる方式だった。
当然吉本興業の芸人だらけで、吉本が有利じゃないかと言われ、最終的に優勝したのはバッファロー吾郎、準優勝がバナナマンだった。
当時はmixiが盛んだったので、バナナマンの方が面白かったという趣旨のコミュニティが生まれるほど。
この時の決勝メンバーを見ると、6組のうち吉本4組、非吉本2組。
非吉本のTKOとザ・ギースはそれぞれバッファロー吾郎とバナナマンに入れている。
残りは全部バッファロー吾郎に入れば、そりゃ視聴者からすれば同じ事務所だから入れたんだなとなる。
ちなみに準決勝敗退組100人の得点では、予選において1位はバナナマンだった。
それもあってか2回目以降は準決勝敗退組100人だけの審査となる。
そもそもテレビ番組の一企画なんだから、贔屓まみれの採点があっても文句を言われる筋合いは本来ない。
ゆえに、これまで色々なお笑いの賞レースがあったが、えっ?ということも多々ある。
一時期のM-1グランプリの敗者復活戦だって、なんでこのコンビが準決勝で負けたの?ということも多々あった。
それをなくさせたのは多くの配信とSNSのおかげだろう。
特にTwitterの普及はあまりにも大きかった。
2008年の第1回キングオブコントが、今のTwitterの普及ぶりで行われたらバッファロー吾郎は相当嫌われたはずである。
それどころか、バッファロー吾郎に投票した吉本の決勝組にも矛先は向いただろう。
バッシングを受けないよう、公平性を保つような仕組みに変化していくのは時代の流れともいえる。
お笑いの賞レースは単なるテレビ番組の一企画であり、今まではそれを押し通せた。
ただそれぞれの賞レースが持つ権威性もあり、一企画だからと乱暴な運営ができなくなった。
TheWの音声トラブルも昔ならそのまま押し通し、ごめ~んねの一言で何事もなかったように済ませられたはずである。
より公平に、より厳正な審査が求められる時代になった。
そして、点数に対する批判が各審査員に行われる時代にもなっている。
M-1グランプリの審査員が誰になるかはまだ明らかになっていないが、立川志らくが降りるのではないかという噂がSNS上で話題となった。
ランジャタイなどに高得点をつけた立川志らくの評価は後になってされるかもしれない。
ランジャタイやあぁ~しらきの演技を見て頭を抱える審査員、それこそが今の状態を示しているのだろう。
思えば2組ともグレープカンパニーである。