ジャニー喜多川の性加害問題は一向に解決の糸口をつかめず、ジャニーズ事務所への印象は日に日に落ちる。
一方で、「タレントに罪はない」をまるで「錦の御旗」のごとく振りかざして、ジャニーズ事務所のタレントは連日メディア出演を果たしている。
確かにタレントに罪もなければ、もしかすればそのタレントの中には被害者がいるかもしれない。
また新たな性加害の告発があったが、ここまで出てしまうと、うやむやにするのは大変だろうか。
うやむやにするパワーよりも洗いざらい調査してすべてを曝け出して生じるマイナスの方が小さいように思う。
そんな中でこんな記事も。
スマイルカンパニーの社長は小杉理宇造氏の息子であり、その名義で松尾潔との契約に関する説明がなされた。
あくまでも松尾潔の言動を踏まえ、社長自らの判断で双方合意による契約の中途終了になったことが説明されている。
双方が合意した、ここをポイントにしているようだ。
そして、7月9日の山下達郎サンデーソングブックで山下達郎本人が「大切なご報告」をすると説明している。
山下達郎がジャニー喜多川の性加害問題の騒動に触れるのかと個人的には驚きでしかない。
なぜ驚きしかないかと言えば、何を発言しようと山下達郎には得がない。
そもそも山下達郎は確かにジャニーズとの関係性が深いが、ジャニー喜多川の性加害疑惑の噂などを知っていたか、分からない。
現在のジャニーズ事務所の社長が知らないと言うのは無理があるが、たとえ司法でセクハラ認定された事案があったとしても、多くの人たちがその事案を知ったのは残念ながら今回の性加害疑惑が報道された段階ではないだろうか。
そして、サンデーソングブックの中で仮に謝罪を行った場合、盟友だった小杉理宇造を裏切ることになる。
一方で、ジャニーズを少しでも擁護するようなことになれば、山下達郎へのバッシングはより過激になり、スポンサーの楽天カードなどに抗議電話が殺到するだろう。
TOKYOFMは耐え切れるだろうか。
明確な攻撃対象が現れた時のネットの凄まじさは想像を絶するというのは、ここ数年で散々示されてきた。
山下達郎はどのみち、その凄まじさの餌食になってしまう。
これは山下達郎本人よりもそうだが、山下達郎のファンには堪え難いものがあるのではないだろうか。
何事にも言えることだが、最初に思い切った決断をすれば、バッシングをする側が悪人のように見えてくる。
「もうここまでのことをしているのに、なぜいつまでもグチグチと言えるのだろうか」とバッシングする側を非難できる。
記者会見すら行えないジャニーズ事務所は残念ながら、バッシングする側に正義を与えてしまっている。
これではいつまで経っても攻撃を受け続けるし、関係者たちが狙われ、白旗を上げる人も出てくるだろう。
バッシングする側に正義を与えない振る舞いは、潔癖と言えるほど膿を出し切るしかない。
今までの会社の偉業をすべて否定するぐらいのことをしないと、この波は止められないだろう。
もしもそこまですれば、自然発生的にジャニーズの偉業を多くの人たちが語りだし、バッシングをしてきた側に矛先が向くはずである。
それができれば苦労はしないのもよく分かるが。
バッシングする側に正義があることを、別に自分は問題視しているわけではないし、ジャニーズのスキャンダルに異様に触れないメディアを20年以上見てきて不思議に感じてきた。
こういうのは冷静に物事を見ないとすぐに見誤る。
松尾潔に対し、神輿のように今後担がされるのは大変だろうと思うのは、山下達郎が好きで、松尾潔に対して余計なことをしてくれたという感情からではないし、そんな感情もない。
それこそ山下達郎の楽曲は好きだが、職人特有の偏屈さもあって、すべてを肯定する気はない。
○○に罪はないと言えるのは、作品は好きだが人間性はどうかなど、作品と人間を切り離せる人だけだろう。
ヒルナンデスやじゅん散歩が当初用いていた槇原敬之の楽曲は、槇原敬之が逮捕されたことで別の曲になったが、このケースだと作品と人間を切り離せていない。
作品と人間を切り離せないメディアが、タレントに罪はないと言っている。
市川猿之助が市川亀治郎時代に出ていた風林火山など、あれこそ罪はないだろう。
もし罪があるのだとすれば、それはどんな罪だろうか。
結局生きづらさを自然発生させているのは、各々なんだろうとも思えてくる。