競輪選手やボートレーサーなど若手を中心にSNSを始める人が増えてきた。
たいていの場合、本業に関してはあの時はすいませんでした、まだまだ下手ですと言うぐらいで、仲間と盛り上がりました的な話題をメインに上げていく。
それに対し、こっちは命の次に大事な金を賭けているんだ!と主張し、それらのSNSを否定しにかかるファンが結構いる。
若手選手が泣き言を言おうものなら、お前みたいな下手に賭けてこっちが泣きたいぐらいだと引かない。
そして、一流選手までもが、若手選手に苦言を呈し、ギャンブラーたちから好かれるようなことを言う。
競輪の松浦悠士がTwitterでまさに若手への苦言を呈していたが、不思議なもので、そういうことを言うと本業でうまくいかなくなる。
ボートレーサーの峰竜太もそんなことを言いたがりだった印象で、言ったその瞬間から勝負の女神に毛嫌いされる。
先日、サッカー日本代表がカタールワールドカップの出場を決定させたが、何かと批判されがちだった森保一に対し、岡田武史がこのようなことを言った。
「成長するときってやっぱり、困難とか失敗とか、その後なんですよ。だから批判は成長させてくれるんですよ。でも面白いことに、批判する人は成長しないんですよ。だから森保に『その人は、自分の成長をなげうってまで成長させてくれてるんだ。ありがたいことなんだ』と言ったんですけど」
命の次に大事なお金を賭けるギャンブラーや松浦悠士、峰竜太などは、若手選手のために犠牲を払って成長させようとしていると思うと、なんて優しい人たちなのだろうか。
岡田武史の言葉は、本当にその通りであり、経営者の言葉だなと思う。
いつもニコニコしている人は、自分が成長したいから批判しないだけで、実際は単なる腹黒かもしれない。でも、それでいいんだろう。
命の次に大事なお金を賭ける割に、ギャンブルの駒たちへの批判を多くするのは、ある種の慈善事業と考えてもよさそうだ。
ふるさと納税をした方が絶対に得なのに、わざわざ他人の成長を身銭を切って応援しているわけだから。
その人たちにとって、本当に「命の次に大事なお金」なんだろうか。
その後、ウィルは『ドリームプラン』で主演男優賞を獲得。ウィルのスピーチによれば、“事件”の後、会場ではデンゼル・ワシントンがウィルに接触。「最高の時こそ気を付けろ。悪魔はそういう時にやってくる」と助言したという。
出典:第94回アカデミー賞でのウィル・スミス殴打後、デンゼル・ワシントンが「最高の時こそ気を付けろ」と助言 ─ クリス・ロック側、警察への届出は拒否 | THE RIVER
アカデミー賞の授賞式で、司会者がウィル・スミスの妻を侮辱してしまい、それに激高したウィル・スミスが司会者を平手打ちした。
CMに入った際、師弟関係のような状態のデンゼル・ワシントンに「最高の時こそ気を付けろ。悪魔はそういう時にやってくる」と助言されたとスピーチで明らかにした。
記事によって表現こそ異なるが、絶頂の時こそ気を付けろという話で、まさに峰竜太に向けたような言葉である。
苦言を呈することそのものは別にいいと思う。
ただ苦言を呈したことで呈した本人の流れは良くならないし、諫めた相手もそこまで響いていない可能性が高い。
要するに、苦言を呈することに得もなければ、損しかない。
しかも、この損は短期的な損失ではなく、致命的な損失になりかねない。
将棋界にも名言が多く、名言を結構製造しているのが、日本将棋連盟で理事を務める鈴木大介。
この人物も、何かと弟子や一門の後輩たちにきついことを言い、結構な苦言を言っている。
不思議と言われた相手は成長しているが、当の苦言を呈した側はとにかく勝負弱い。
麻雀や競馬など本業でないところでは強く、本業になるとあと一歩が出ない。
自分の成長を犠牲にしてまで後輩の成長を助ける、名伯楽とはそういうものなのかもしれない。
ただ勝負師としては失格じゃないだろうか。
苦言を呈するのは、すべてをリタイアした人間の特権だと思えば、張本勲を許せるのではないだろうか。
小銭稼ぎのために日本代表や特定の球団を批判するサッカー解説者、野球解説者もきっとすべてをリタイアした人間なのだろう。
もしコーチや監督の野望があって、苦言を呈する活動をしているのならば、それは逆効果である。
ギャンブラーも同じで、慈善事業でお金を投げうつのであれば別に苦言を呈していいと思う。
本当に「命の次に大事なお金」を賭けるのであれば、もっと予想に精進すべきだろう。
自分もボヤく人間であり、慈善事業状態になってしまっている。
もしくは、大事ではあるけれど、命とお金の間に大切なものがあるような状態にしちゃうのがいいかもしれない。
命の次に大事なのは家族や恋人、友人、趣味、タバコ、酒などなど。
お金より大事なものって、結構あるものだ。